『Think right』を読まずして分かる あなたが陥いる11の思考のワナ①

Think rightのイメージ図

書店で見ないことはない「52の思考法シリーズ」である『Think Smart』『Think clearly』につづき、今春『Think right』が日本で刊行されました。

『Think right』では人間誰もが陥ってしまう「思考のワナ」が52個紹介されています。

例えば、「スーパーのレジで自分の列だけ進まない」と思ったことはありませんか?「コインが50回連続で表がでたら、次は裏が出る」方に賭けませんか?

思考のワナは、先入観や人間の狩猟時代の本能から起こるため、なかなか意識しないと気づくことすらできません。

本書で紹介された52の思考のワナの中で、特に誰もが陥りそうな「なるほど!」と思ったワナを全部で11個、紹介したいと思います。

本記事では前編として、まず5つのワナを紹介したいと思います。

思考のワナをワナだと気づけると、落とし穴にハマらない選択ができるようになるかも知れません!

前作、前々作の『Think clearly』、『Think Smart』もまとめているので、是非そちらもご覧ください。

『Think right』ってどんな本?

Think rightの表紙画像

40を超える国で翻訳出版され、累計部数300万部を超える全世界で大ベストセラーとなった「52の思考法シリーズ」

『Think Smart』(2019)、『Think clearly』(2020)が日本でも発売され、大反響を起こしました。

その反響を受け、すでに絶版となった2013年に刊行の『なぜ、間違えたのか? 誰もがハマる52の思考の落とし穴』の改訂・復刊版として『Think right』が今年4月に日本で刊行されました。

つまり『Think right』は「52の思考法シリーズ」の第1弾となりますが、シリーズの中でもっとも読まれているのがこの第1弾です。

『Think clearly』は思考をクリアにするための様々な線引きを教えてくれ、『Think Smart』は日常に潜んでいる様々な心理的な勘違いを示し、本書『Think right』では人間が無意識に陥ってしまう思考のワナを紹介しています。

フレーミングのワナ

フレーミング効果のイメージ図

立派な額縁に入った絵と額縁がない絵を見ると、額縁がある方の絵を高く評価してしまうように、同じ状況なのに表現の仕方で受ける印象が違う現象を心理学用語で「フレーミング効果」と呼びます。

フレーミング効果を使ったワナに知らず知らずあなたも引っかかっているはずです。

あなたは「脂肪分99%カットの肉」と「脂肪分1%の肉」どちらを選びますか?

2つの肉はまったく同じ脂肪分なのに、「脂肪分99%カットの肉」の方を直感的に選んでいませんか?

実験ではさらに「脂肪分98%カットの肉」と「脂肪分1%の肉」を選んでもらうと、たいていの人は脂肪が2倍含まれている98% カットの肉の方が健康にいいと評価しました。

「脂肪分=少ない方が良い」という先入観が強いと、実質何パーセントであろうと「カット」の文字の方にひかれてしまう傾向があるようですね。

他にも、600名の命が危険にさらされているとき「対策Aを行うと200名の命が助かる」と「対策Bを行うと、600名全員が助かる可能性は3分の1、全員死亡する可能性は3分の2」であなたはどちらを選びますか?

論理的に考えればほぼ同じことを言っているのにも関わらず、過半数の人が対策Aを選びました。

さらに興味深いのは、「対策Aを行うと400名が死亡する」と「対策Bを行うと、600名全員が助かる可能性は3分の1、全員死亡する可能性は3分の2」でどちらを選ぶか調査したところ、大多数の人が対策Bを選んだのです。

つまり「助かる」と「死亡」という言葉を置き換えただけで、まったく逆の決断が下されたのです。

このように「聞こえをよくするための表現」に惑わされては正しい判断ができません。

そのため、その情報がどのような枠組みに基づいているのか見極める必要があるのです。

確証のワナ

確証バイアスのイメージ図

新しい情報を自分の意見や信念に無理やり合わせて解釈する傾向のことを「確証のワナ」と呼びます。

このワナも意識的に回避しないと陥る可能性がとても高いです。

例えば、「Googleがこれほどまでに成功したのは、同社が創造性を育てているからだ」という記事があり、それを裏付ける証拠として同じように創造性があり成功している会社が紹介されていました。

その記事を読んであなたは「なるほど〜やっぱ創造性を大事にしているからGoogleは大成功したのか〜」と思いませんでしたか?

そう思ったあなたは確証のワナにはまっています。

なぜならば、「反対の証拠」を掘りおこす努力をしていないからです。

本当はごまんとあるはずの「創造性を育てていても成功していない会社」、または「成功はしているが創造性のない会社」を探していません。

反対の証拠があるとすれば、その記事の主張はまったく無意味なものになりますよね。

つまり、自分の「創造性→成功」という自分の意見に無理やり合わせてGoogleの成功を解釈していたのです。

他にも、よくビジネス書で「Google式〇〇術」と言ったタイトルを見かけますが、そのような方式をとって失敗した企業が存在するのか言及されているでしょうか。

瞑想は大きな幸せを手にするための鍵です」という文章で、反対の証拠である「瞑想をしているのに不幸せな人」や「瞑想をしなくても幸せな人」まで言及されているでしょうか。

しかし、ほとんどの記事や本でそこまできっちり考慮されていません。

ワナにはまらないためには、反対の証拠を自分の頭で探す必要があるのです。

サンクコストのワナ

コンコルドの誤謬のイメージ図

「サンクコスト(sunk cost)」とは日本語で「埋没費用」とも呼ばれ、もはや回収できない費用のことを指し、そのサンクコストを考慮に入れたがために合理的な判断ができなくなることを「サンクコストのワナ」と呼びます。

このワナにはまったことがない人はいないでしょう。

例えば、「あなたは2時間の映画のチケットを1800円で購入し、映画館で映画を見始めました。しかし10分後に映画がつまらないと感じられた場合にその映画を観続けますか?それとも中座しますか?

99%の人は「せっかく1800円もしてチケット買ったんだから、最後まで観よう」と思い席を立たないでしょう。

これこそがサンクコストのワナにはまっているのです。

もう少し、合理的に考えてみましょう。

もしあなたがつまらない映画を観続けた場合、「チケット代の1800円」と「上映時間の2時間」を両方失います。

一方、もしあなたが中座した場合、「チケットの1800円」と「上映時間の初めの10分」を失いますが「残りの1時間50分」を有効に使うことができます。

こう言われたら、後者の方が理にかなっていることが火を見るより明らかですね。

この場合、「チケット代の1800円+上映時間の初めの10分」がサンクコストであり、どちらの選択肢を選んだとしても回収できない費用です。

したがって、この場合は既に回収不能な1800円は判断基準から除外し、「今後この映画が面白くなる可能性」と「鑑賞を中断した場合に得られる1時間50分」とを比較するのが経済的に合理的です。

このように、もはや回収できない費用に目が眩んで、合理的な判断ができなくなってしますのです。

このサンクコストのワナは別名で「コンコルドの誤謬」とも呼ばれています。

コンコルドとは、1969年にイギリスとフランスの共同開発によって初飛行を成功させた超音速旅客機で、通常の旅客機の飛行高度の2倍もの高度をマッハ2.0で飛行する、唯一の超音速民間旅客機として話題となりました。

しかし、実は両国とも「超音速旅客機は決して採算がとれない」という事実に、かなり早い段階で気づいていました。

それなのに、国の面目を保つだけのために巨額な資金が投入されつづけました。

その結果、さらなる赤字に追い込まれることになったのです。

サンクコストのワナにはまった典型であり、傷口を広げる結果となりました。

これまでに何をどれだけ費やしていようが「もったいない」という理由でつづけるのではなく、現在の状況と今後の見通しだけに目を向けることで合理的な決断ができるようになるのです。

スイマーボディー幻想のワナ

スイマーボディー幻想のワナのイメージ図

水泳選手ってマラソン選手のようにガリガリに痩せておらず、ボディービルダーのようにムキムキで大きくなり過ぎず、ちょうど良い逆三角形の綺麗な肉体美をもっていますよね。

そこで、あなたが水泳選手のような逆三角形の肉体美を手に入れたいと思い、水泳を始めた。

このような欲しい結果やなりたい状態だけを理由に選択してしまうことを「スイマーボディー幻想のワナ」と呼びます。

実は水泳選手の肉体が完璧なのは、とことんトレーニングを積んだからではなく、もともと体格がいいから泳ぎがうまくなったのです。

つまり、逆なのです。

生まれつきの体形のよさが水泳というスポーツを選ぶきっかけとなったのであり、水泳をしたから美しい姿になったのではありません。

このスイマーボディー幻想のワナに、思ったよりもはまっています。

例えば女性の方で、化粧品のCMに登場する女性モデルを見て、「その化粧品を使えば、自分も綺麗になれる」と幻想を抱いていませんか?

しかし、その商品を使ったからといって、モデルになれるわけではありません。

モデルになる人はたまたま美しく生まれ、だからこそ化粧品のCMに起用されただけです。

それでも、多くの人は綺麗なモデルが使っているというだけで自分も綺麗になれると錯覚を起こしてしまうのです。

平均への回帰のワナ

平均への回帰のワナのイメージ図

平均への回帰に気づかずにデータの収集と解釈を行い、さも科学的根拠があるような誤った結論(改善効果があった、悪化が見られる、等)を出してしまうことを「平均への回帰のワナ」と呼びます。

平均への回帰とは、つまり平均に戻る、平均に近づくということです。

統計学的に見て、一方向に偏って動いたものは、すぐに偏りが解消されるように反対方向に動くことが多いのです。

この平均への回帰のワナは日常生活で頻繁に起きていませんが、よく注意すると日常に潜んでいることに気づくでしょう。

例えば、「少し具合が悪くて病院に行き医者に見てもらったら元気になった」

一見もっともらしいですが、これは平均への回帰が起こっただけの可能性があります。

つまり、「具体が悪いという偏った状態が、通常の元気な状態に戻っただけかも」ということです。

医者に見てもらったことと因果関係がない可能性があります。

他にも、「部署の中でモチベーションが低い3%の社員ををモチベーションアップ・セミナーに参加させたら、彼らのモチベーションが上がった

これも大変もっともらしく、何も考えないと「セミナーって効果あるんだ〜」と思ってしまいます。

しかし、モチベーションが低い3%の社員のモチベーションが上がったのは、モチベーションが「低い→ふつう」に回帰しただけの可能性があり、セミナーの効果があったのか判断は難しいです。

教師が平均への回帰のワナの存在を見落とすと、とんでもない事態を招くことがあります。

それは、「罰を与えるのは、褒めるよりも効果がある」と結論づけてしまうのです。

試験でトップをとった生徒は褒められますが、次の試験ではほどんどの場合トップを取れず成績が落ちます。

一方、試験で最下位だった生徒は叱られますが、次の試験ではほとんどの場合最下位ではなく成績が上がります。

つまり、「褒める→成績下げる 叱る→成績上げる」効果があると勘違いしてしまうのです。

後編

いかがでしたでしょうか? 前編では、思考のワナを5つ紹介しました。

後編「『Think right』を読まずして分かる あなたが陥いる11の思考のワナ②」では、さらに以下の思考のワナを6つ紹介したいと思います。

  • ギャンブラーの錯覚のワナ
  • 倍々ゲームのワナ
  • 誤った因果関係のワナ
  • 条件結合のワナ
  • 選択のワナ
  • ゼロリスクのワナ








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