『ヤバイ集中力』を手に入れる科学が証明した驚くべき「儀式」の力とは?

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勉強しはじめてもすぐスマホを手に取ってしまったり、テスト前なのに部屋の掃除をしはじめたり、「自分って集中力ないな〜」と思った経験ありませんか?

かく言う私も、特に受験期は自分の集中力を上げたくて上げたくて仕方ありませんでした。

そこで本記事では、鈴木祐さんの著作『ヤバい集中力: 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45』から、喉から手が出るほど欲しい「ヤバイ集中力」を手に入れる方法を、2つに厳選してご紹介したいと思います。

その2つのキーワードとは「儀式」「物語」

いずれも「集中力」と聞いて思い浮かぶ言葉ではないでしょう? 読むと実に驚くべき方法です。

さらに「ヤバイ集中力」と言ってもいかがわしいものではなく、すべて論文にもとづいた、科学が証明した方法です。

わかりやすく例をまじえながら詳細に説明しますので、まず本記事では「儀式」にフォーカスします。

集中力を手に入れれば、勉強も仕事も上手くいき、人生が豊かになるのは言うまでもないですね。

では、さっそく参りましょう。


ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45

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本記事の参考文献は、こちらです。

著者の鈴木祐さんは新進気鋭のサイエンスライターで、10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアをテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がけています。

本書も、ここ数年に発表された脳科学や心理学、栄養学にもとづく数千件を超える研究論文がベースになっており、さらに米国とアジア太平洋の主要な栄養学者など約40人に行ったインタビューをもとに構成されています。

集中力を上げるためのテクニックとして世間でよく見かける、タスク管理を徹底する、気の散らない環境を整える、フローやゾーンに入る方法を考える、といった対処療法ではなく、「そもそも集中力とは何か?」という集中力の正体を見極め、人間の心の基本的なシステムから説き起こしてある点が画期的です。

本記事では全6章の中から、「儀式を行う」にフォーカスしています。さらに詳しく知りたい方は、是非本書を手にとってみてください。

集中力は才能?

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集中力がないと嘆かれている方も多いと思いますが、過去の大天才たちですら注意散漫には多いに苦しみました

「万能の人」と呼ばれたレオナルド・ダヴィンチは生涯で1万ページ以上の手稿を残したことで知られますが、実際に完成までにこぎつけた作品の総数は20を超えません。

その仕事ぶりは注意散漫のひとことで、少し絵を描き進めたかと思えば、すぐ手近のノートに無関係な落書きを始め、また我に返っては絵筆を握り直すのが普通でした。

おかげで作業は遅れに遅れ、あの「モナリザ」などは完成にまで16年を要したほどです。

他にも集中力の問題に悩んだ偉人は多く、小説の執筆中に何度も恋人に気を取られ、ほどんどの作品を完成させられなかったフランツ・カフカ。電話のベルに集中を乱されつづけ「あの音が脳の中身を食い尽くす」と日記に記した文豪ヴァージニア・ウルフ。

一方で、生涯でおよそ13,500点の油絵と素描を制作したパブロ・ピカソや年間800ページのペースで5万ページ以上の論文を残したレオンハルト・オイラー、1093件の特許を取得したトーマス・エジソン、など「ハイパフォーマー」と呼ばれる人物がいるのも事実。

一般人の4倍もの生産性をもつハイパフォーマーですが、「どうせ才能とか遺伝なんじゃないの?」とつい言いたくなるでしょう。

実は私たちの生産性が遺伝に左右するされるのは有名な話で、4万人を対象にしたミシガン州立大学にメタ分析では、仕事への意欲や集中力は生まれつきの性格によって約50%は説明できるとの結果が出ました。

つまり人間の集中力がかなりのところまで才能で決まるのは確実ですが、気落ちしないでください。

逆に言えば遺伝で決まってしまう集中力はあくまで全体の半分に過ぎず、残りの半分は後からでも修正ができるということです。

では。具体的なテクニックを3つ紹介します。

儀式に隠された驚くべき効果

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「儀式」と言われて何を思い浮かびますか?

結婚式や葬式、初詣などの伝統行事でしょうか。しかしここで注目したいのは自ら編み出したオリジナルな儀式、つまり「マイ儀式」の効用についてです。

例えば、ロケットの打ち上げ前には必ず木を植えるロシアの宇宙飛行士、午後に必ず3時間の散歩をしたチャールズ・ディケンズ、スポーツ界では又の名「ルーティーン」として呼ばれることが多いですが、赤いポロシャツでつねにトーナメントの最終日に挑むタイガー・ウッズ、いつも2本のボトルから交互に水を飲むテニスのラファエル・ナダルがなどなど。

これを迷信と斬って捨てるのは簡単ですが、実は現代の科学ではマイ儀式の有用性が認められつつあります

例えば、このようなものがあります。

  • 「ある儀式」を行った後で食事をすると摂取カロリーが20%減少した
  • ゴルファーがボールにキスする仕草をしたらパットの確率が38%も上がった
  • 認知テストの前に指を10回鳴らしたら成績が21%アップした

ほんとに??と思うかもしれませんが、論文(Enacting Rituals to Improve Self-Control(2018) Keep Your Fingers Crossed! How Superstition Improves Performance(2010))で示された事実となります。

特に1番目の「ある儀式」とは、おもしろいくらいに無意味な3つの作業を行います。

  1. 食べる前に食品を小さくカットする
  2. 小さくカットした食品を皿の上に「左右対称」に並べる
  3. 食品を口に運ぶ前に、フォークやスプーンを皿で軽く3回押す

明らかに食欲を減らすような魔法の効果はなさそうですよね。

さらにすごいのは、「儀式を行うと摂取カロリーが20%減少した」というのは、テレビやスマホなど他のことには注意を向けずただ目の前の食事に集中するテクニック「マインドフルネス・イーティング」に比べてカロリーが20%も減ったという点です。

マインドフルネス・イーティングとは近年では肥満外来などでも取り入れられつつあるテクニックで、多くの先行研究で食べ物をしっかりと味わうだけでも摂取カロリーが自然と減ることが確認されています。

つまり、一般的な食べ方と比べたらさらに摂取カロリーが減っていることでしょう。

「マイ儀式」づくりの2条件と具体例

  1. 「この作業をしたら大事な作業に取り組む」と決めておく
  2. 決めた手順を何度もくり返す

上の2点を満たす限り、どんな内容でも効果は見込めます。

「ガムを噛む」や「ペンを10回まわす」などのように適当に決めた動作を「儀式」として使うのもありで、どのような手順を採用するかは自由です。

しかし、どうせなら無意味な手順だけではなく、現実の役に立つ作業を「儀式」に取り組む方がいいでしょう。

では、実効性が高い「儀式」を紹介します。

朝イチは簡単なタスクから手をつける

「まず、朝一番にカエルを食べろ!」という言葉があるように、昔からビジネス書の世界では「難しい作業から先にやるべし!」といったアドバイスがなされてきました。

難易度が高いタスクをはじめに終えてしまえば、あとはリラックスして残りの作業に取り組めるからです。

感覚的には説得力のあるアドバイスですが、実は難しい作業から手をつけるのではなく、メール返信のような簡単な作業を先にした方が最終的な成果が上がることが分かりつつあります

ハーバード・ビジネス・スクールの研究チームは、さまざまな業種から500人のビジネスパーソンを集め、3つのグループに分けました(Task Selection and Workload: A Focus on Completing Easy Tasks Hurts Long-Term Performance

  1. 朝に1日のタスクをすべて書き出し、重要で大変なタスクから作業をこなしていく
  2. 朝に1日のタスクをすべて書き出してリストの順番どおりにこなしていき、ひとつの作業を終えたらチェックを入れる
  3. 朝に1日のタスクをすべて書き出し、簡単なタスクをリストの先頭にまとめ、その順番どおりに作業を進める

その後すべての被験者の仕事ぶりを記録したところ、タスクの達成量がもっとも多かったのは3番目でした。

1日の最初に簡単なタスクをこなすことで小さな達成感を味わうことでドーパミンが大量に放出され、集中力が上がり、最後には仕事への満足度も改善したようです。

1日のはじめに行うタスクはなんでも構いませんが、5分程度で片がつくようなものを選ぶといいでしょう。

「できた!」を繰り返し記録して達成グセをつける

正しい儀式を作る2つ目の方法は「記録」です。

日記、ブログ、家計簿、体重の変化など、記録の内容は問いません。

なんらかのデータを定期的に残し続ける行為は、いずれも集中力アップの儀式として機能してくれます。

ある実験では、被験者たちに家計簿サイトを使って日々の支出を記録するように指示したところ、4ヶ月後の認知テストで家計簿を細かくつけた人ほど主観的なストレスが減り、普段の仕事にも気を散らさずに取り組めるようになっていました(Improvements in self-control from financial monitoring(2007))。

記録をつけただけで集中力が上がるというのだから、なんとも不思議な現象でしょう。

また、ゴールまでの進捗状況を記録するのも非常に良い方法です。

リーズ大学によるメタ分析では、作業の進み具合を記録した場合、目標の達成率は「d+=0.40」の効果量で高くなるとのことで、劇的な効果とまではいかないものの、十分に試す価値があるレベルです(Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence(2016))。

ここで気をつけたいのは、ゴールまでの進捗状況を記録するときは以下の2つのポイントです。

  1. 行動を変えたいときには、自分がとった行動だけを記録する
  2. 結果を出したいときには、結果への過程だけを記録する

例えば、減量を目指す人が食事の内容を記録すると、ダイエットが失敗に終わる確率は高くなります。

「減量」という結果を目指したはずなのに、「食事」という行動の内容を記録したからです。

良い例をあげるとこんな感じです。

  • 貯金を増やしたければ、貯金額の増減だけを記録する
  • タバコを止めたければ、タバコを吸わなかった日数だけを記録する
  • 運動を続けたければ、ジムに行った日数だけを記録する

「小さな不快」を重ねる

記録に慣れたところで新たな儀式のタネとして導入して欲しいのが、「小さな不快」の要素です。

「小さな不快」とは、あなたの体と心に軽い負荷を与えることを指し、具体的には次のような行為が挙げられます。

  • 好きなお酒をちょっとだけ我慢する
  • 利き手ではない方の手でマウスを操作する
  • 背中が曲がっていることに気づいたら背筋を伸ばす

「そんなことで集中力が上がるわけがない」と思った方も多いでしょうが、それは大間違い。ここで挙げた事例はすべて、正式な実験で集中力アップの効果が確認されたものばかりです(Longitudinal improvement of self-regulation through practice: building self-control strength through repeated exercise(1999))。

その他の代表的な例として、酒と集中力に関するリサーチがあります(An experimental analysis of acquired impulse control among adult humans intolerant to alcohol(2016))。

474人の男女を対象に、スキンパッチテストで全員のアルコール代謝レベルを調べたあと、全体を2つのグループに分けました。

  1. アルコールに強くて酒が好き
  2. アルコールに弱いが酒は好き

一見よくわからないグループ分けですが、「アルコールに強くて酒が好き」な人にとってはお酒を飲む際にストレスがないですが、「アルコールに弱いが酒は好き」はお酒を飲むたびに「小さな不快」に耐えている可能性が高いのです。生まれつき酒に弱ければ、「もう一杯飲みたい」と思っても我慢するしかありません。

この違いが被験者の集中力に差をもたらすのではないかと、研究チームは考えたわけです。

その後、全員に集中力テストを行ったところ、両グループには明確な差が現れ、定期的に酒の誘惑に耐えている人ほど目先の欲望に流されにくく、注意をそらさずタスクへ取り組む傾向が強かったのです。

この結果が示すのは、普段から小さな忍耐を積み重ねておけば、まったく違うシチュエーションでも集中力が出やすくなるという事実です。

好きなお酒を少しだけ耐えたり、慣れない動作でマウスを操作したりと、一見するとなんの意味もなさそうな日常の我慢が、あなたの集中力の土台を底上げしてくれます。

言い換えれば「小さな不快」とは心の筋トレのようなもので、一時的なトレーニングの不快感を耐えないと筋肉がつかないように、精神にもある程度の負荷を与えないと成長は見込めません。

どのような「小さな不快」を選ぶかは人それぞれです。「夜食を我慢する」「新しい物を買ったらい何かを捨てる」など。

しかし多くのデータによれば「不快」の難易度は、成功率が8割〜9割になるあたりを目指すのがベストです。

「5のルール」で小さな不快を重ねる

もし適切なレベルの「不快」が見つからないときは、とりあえず「5のルール」試すと良いでしょう。

カウンセリングの世界などで「先延ばし対策」に使われるテクニックで、基本的なルールは単純です。

  • 仕事を止めて休憩したくなったら、あと5分だけ続ける
  • ふとスマホをチェックしたくなったら、あと5分だけ目の前の作業を続ける
  • 腹筋運動をやめたくなったら、あと5回だけ続ける
  • 読書に集中できなくなったら、あと5ページだけ読む

つまり、作業をやめたくなったら、とにかく5の数を使ってタスクを続けてください

私たちの集中力は非常のもろく、いったん目の前の作業から気がそれると、再びもとの状態にもどるまでに20~30分の時間を必要とします(Cognitive Rehabilitation: An Integrative Neuropsychological Approach(2001))。

この時間が積み重なり1日のムダが合計3~4時間に達するケースも珍しくなく、つまり気が散りそうな瞬間に「5のルール」でもう一度集中力を引き戻し、時間のロスを防ぐのです。

カウントダウン版「5のルール」

なかには「そもそも作業をスタートするのが苦手だ」という人もいるのではないでしょうか。

例えば、勉強はやり始めたら意外と楽しいのに、始めるまでが一番腰が重く、Youtubeを見たり漫画を読んでみたりして時間を浪費していませんか?

そんな方には、カウントダウン版の「5のルール」を使ってください。

「作業をする気が起きない…」との気持ちがよぎったら、すかさず脳内で「5、4、3、2、1」と心のなかでカウントダウンをスタートし、その間にとにかくタスクに取りかかるのです。

例えば、こんな感じです。

  • 明日〆切のレポートを書かなければいけないが取りかかれない→頭のなかで5からカウントダウンを始め、ゼロになるまでにとりあえずキーボードを叩き始める
  • 運動したいのに気持ちが上がらない→頭のなかで5からカウントダウンを始め、ゼロになるまでにとりあえずその場でスクワットを始める

なんの対策を取らずに作業を先延ばしにするよりは確実に生産性が上がります(The 5 second rule transform your life work and confidence with everyday courage(2017))。

儀式スタッキング

儀式スタッキングの画像

それぞれの儀式がインストールされてきたら、続いて「儀式スタッキング」に挑戦してみてください。

スタンフォード大学の行動科学ラボが提唱する手法で、それぞれの儀式に対して、さらに別の儀式を積み重ねていくテクニックのことです(Tiny Habits: The Small Changes That Change Everything(2019))。

例えば、こんな感じです。

  • 儀式1
    朝8時になったらもっとも簡単にできそうタスクを選んで最優先で取り組む
  • 儀式2
    簡単なタスクを一通り終えたら、今度はもっとも難しい作業に取り組む
  • 儀式3
    難しい作業を終えたら、外に出て10分だけランニングをする
  • 儀式4
    一日の最後に、「できた!」を記録して寝る

最後に

いかがいかがでしたでしょうか。マイ儀式を完全に身に着けるには、週4回2ヶ月つづける必要があると言われています。

2ヶ月間も?!と思われるかもしれませんが、速攻で手に入る集中力なんてものは表面的なテクニックで、根本的に集中力を上げるには多少の時間がかかるものです。

しかし、一回ルーティン化してしまえば苦でもなんでもなくなるので、是非トライして頂きたいです。

本記事では、前編として「儀式」の力をご紹介しました。

つづきの後編では「物語」にフォーカスし、科学的な根拠に基づいた強力なメソッドを難易度順に5つ紹介したいと思います。













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